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アニサキス症とは?原因・症状・検査・予防まで

目次

1. アニサキスとは

アニサキスは、サバ・アジ・サンマ・イカなどの海産魚介類に寄生する線虫(寄生虫)です。
刺身や寿司、しめ鯖などを“生に近い状態”で食べることで人の体内に入り、胃や腸の壁に噛みつくようにして強い痛みを起こします。

アニサキス幼虫は、

  • 長さ:およそ 2〜3cm
  • 太さ:0.5〜1mm 程度
  • 見た目:白っぽい少し太めの糸くず状

で、胃酸にも強く、数日間は胃の中でも生き続けることができます。

典型的には、魚介類を食べてから数時間以内に

  • 激しいみぞおちの痛み
  • 吐き気・嘔吐

などが出現します。腸まで到達した場合には、腸閉塞(イレウス)などの合併症を引き起こすこともあります。

疑わしい症状があれば我慢せず、早めに消化器内科を受診し、胃カメラで直接確認して摘み取ることが重要です。
当院では、消化器病専門医・内視鏡専門医である院長が、アニサキス症の診断・治療・予防まで丁寧に対応いたします。


2. アニサキス症の原因

アニサキス症は、一言でいうと「生魚を食べることが原因の食中毒」です。
アニサキス幼虫が付着した魚介類を、生または火の通りが不十分な状態で食べることで、胃や腸へ侵入し、強い腹痛を引き起こします。

アニサキスがつきやすい魚介類

  • サバ
  • サンマ
  • アジ
  • イワシ
  • サケ
  • カツオ
  • イカ
  • タラ
  • キンメダイ
  • ニシン
  • ホッケ
  • マス
  • ヒラメ など

これらを 刺身・寿司・しめ鯖・漬け といった生食・半生の状態で食べることが、アニサキス症の代表的な原因となります。


3. アニサキス症が起こるメカニズム

アニサキス症は、幼虫が胃や腸の粘膜に「刺さる」ことで炎症や痛みを起こす病気ですが、症状の背景にはアレルギー反応も深く関わっています。

  • 初めての感染:
    機械的な刺激が主体で、症状が比較的軽いこともある
  • 2回目以降の感染:
    体がアニサキスを「異物」として強く認識しており、アレルギー反応が加わってより激しい症状が出やすい

このアレルギー反応のため、加熱や冷凍で死んだアニサキスでも症状を起こすことがある点には注意が必要です。


4. アニサキス症の分類

アニサキス幼虫がどこに入り込むかによって、次の3種類に分けられます。

  • 胃アニサキス症
  • 腸アニサキス症
  • 消化管外アニサキス症

このうち、約98%が胃アニサキス症といわれています。胃にいる場合は、胃カメラで虫体を確認し、その場で鉗子を使って摘出することで治療が完了します。

腸アニサキス症は、幼虫が生きたまま腸まで移動した場合に起こります。内視鏡で直接取り除くことが難しいため、痛み止めなどで症状を抑えながら、数日〜1週間ほどで自然に死滅するのを待つ治療が基本となります。

消化管外アニサキス症はまれな病態で、アニサキスが胃や腸の壁を突き破って体の別の場所へ移動した状態です。発生部位によって治療方針が変わります。

アニサキスアレルギーについて

アニサキス症の中には、

  • 蕁麻疹
  • かゆみ
  • 重症例では血圧低下や呼吸困難、意識消失(アナフィラキシー)

などを起こす「アニサキスアレルギー」も含まれます。
加熱済み・冷凍済みの魚でも症状が出ることがあるため、上記のようなアレルギー症状が出た場合は、早急に医療機関を受診してください。


5. アニサキス症の症状

アニサキス症は、魚介類を食べてから1時間〜2週間の間に発症します。多くは 摂取後3〜8時間以内 に症状が出ます。

  • 胃アニサキス症:摂取後 4〜8時間で発症
  • 腸アニサキス症:摂取後 数時間〜数日で発症

主な症状は、

  • 激しいみぞおち(上腹部)の痛み
  • 吐き気・嘔吐
  • 下腹部痛

などです。

ノロウイルスやカンピロバクターなどの一般的な食中毒と違い、「下痢がほとんどない」ことが特徴です。
また、症状が出るまでの時間が比較的早く、「食べて早い段階から強烈な痛みが出る」点もアニサキス症の大きなポイントです。

(ここに「主な食中毒の潜伏期間一覧」の表を挿入)


6. アニサキス症を疑うチェックポイント

以下の条件に当てはまる場合、アニサキス症の可能性を考える必要があります。

  • サバ、アジ、イカ、サンマ、カツオ、イワシ、サケ などの 刺身・寿司を食べた
  • その数時間〜半日以内に、みぞおち付近の強い痛みが続いている
  • 下痢は出ていない、もしくは軽い
  • 痛み止めを飲んでもあまり効かない

このような経過であれば、できるだけ早く胃カメラ検査ができる消化器内科を受診してください。
胃カメラで幼虫を摘出できれば、症状はその場から急速に改善することが多いです。


7. アニサキス症の検査・診断・治療

胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)

アニサキス症が疑われるときに、最も重要なのが胃カメラです。

  • 胃の中を直接観察し、アニサキス幼虫が刺さっていないかを確認(診断)
  • 見つかった幼虫を鉗子でつまんで取り除く(治療)

を、一度の検査で同時に行える唯一の方法です。

鎮静薬を使って検査すれば、苦痛は最小限に抑えられます。
多くの患者さんで、虫体を摘出した直後から痛みが劇的に軽くなるのが特徴です。

(ここに実際の内視鏡画像・動画を挿入)

血液検査

血液検査では、

  • 白血球数
  • CRP(炎症反応)
  • 好酸球
  • IgE など

を確認します。アニサキス症では、これらが上昇することがあります。
胃カメラでアニサキスが確認・摘出できた場合には、省略しても構いません。診断がはっきりしない場合に、病態把握のため行います。

腹部CT検査

CT検査でアニサキス幼虫そのものを映し出すことはできませんが、

  • 胃や腸壁のむくみ
  • 炎症の広がり
  • 腸閉塞の有無

などを評価することができます。こちらも、胃カメラで診断がついた場合には必須ではありません。


8. 胃カメラの予約(即日の検査について)

当院では、アニサキス症が疑われる方に対して、即日の胃カメラ検査にも対応しています。

  • Web予約の際は、備考欄に「アニサキス疑い」とご記入ください。
  • 予約枠が埋まっている場合でも、お電話でご相談いただければ、痛みの程度や状況に応じてできる限り柔軟に対応いたします。

9. アニサキス症の予防(加熱・冷凍方法)

アニサキス症は、調理と保存のポイントを守れば、ほぼ確実に予防できる食中毒です。

主な予防法

  • 加熱:60℃で1分以上、または 70℃以上であれば瞬時に死滅
  • 冷凍:−20℃以下で24時間以上
  • 漁獲後の内臓除去:魚を捕ったら、できるだけ早く内臓を取り除く
  • 調理時の目視:白い糸くず状の虫体がいないかよく確認する

(上記を表形式でまとめて掲載)

加熱

アニサキスは熱に弱く、十分に加熱された焼き魚や煮魚であれば、基本的に心配はありません。

冷凍

−20℃以下で24時間以上冷凍すると死滅します。
ただし、家庭用冷凍庫では温度や時間が不十分な場合もあるため、「家庭で冷凍したから大丈夫」とは言い切れません。業務用の冷凍設備で処理されたものがより安全です。

酢・塩・醤油・わさびでは死なない

アニサキスは酸や塩分にも強いため、

  • しめ鯖
  • 塩漬け
  • 醤油漬け
  • わさびや生姜

などでは死滅しません。「酢でしめてあるから安心」というのは誤解ですので注意してください。

漁獲後の内臓除去・目視

アニサキスは、魚が生きている間は主に内臓に寄生していますが、死後時間が経つと身の部分へ移動してきます。
そのため、できるだけ早く内臓を取り除くことが大切です。

調理の際には、白い糸くず状の虫体がないかを目で確認し、見つけた場合は必ず取り除きましょう。飲食店では、ブラックライトでアニサキスを光らせて確認する方法も使われています。

(写真を挿入)


10. アニサキス症を放置するとどうなるか

アニサキスは、体内に入っても数日〜1週間ほどで自然に死ぬといわれています。そのため、理論上は何もしなくても症状が徐々に落ち着くケースもあります。

しかし現実には、

  • 痛みが非常に強く、日常生活が送れない
  • 寝ていても目が覚めるほどの激痛

といったケースが多く、自然経過をただ待つのは現実的ではありません。

胃カメラで虫体を直接取り除くことが、最も確実かつ即効性のある治療です。
除去した直後から痛みが一気に軽くなることが多く、多くの患者さんが「もっと早く来ればよかった」とおっしゃいます。

ごくまれですが、アニサキスが腸の壁に深く入り込み、穿孔(穴があく) といった重い合併症を起こすことも報告されています。

  • 痛みが長く続く
  • だんだん悪化している気がする
  • 発熱や強い腹部膨満感を伴う

といった場合には、「そのうち治るだろう」と放置せず、必ず早めに消化器内科を受診してください。


11. 参考文献

厚生労働省:アニサキスによる食中毒
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html

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